
逆境でこそ、「自分の基本」に立ち返れ
出典:プロフェッショナル サッカー監督 森保一
NHK番組 プロフェッショナル仕事の流儀の森保一氏の回を紹介します。
監督就任5年目の森保。シーズンを戦い抜くために、森保に任された大きな仕事の一つが選手起用だ。森保は、この任務が「最も嫌な作業」だと言う。それは、試合に出たいと必死に努力を続ける選手たちの“心”を預かっているということを、忘れてはいけないと肝に銘じているからだ。
森保は選手たちがベストの状態で練習し、試合に臨めるよう、心の通ったコミュニケーションを取りながら、同時に、選手のやる気に火を点けていく。
目次
ミスはみんなで修正する。
森保一、その中で培われた一つの信念
ミスはみんなで修正する
「サッカーは球技の中で一番ミスの多いスポーツだと思いますし、ミスが起こった時に、動作のミスを取り返すために、みんなでどうするかっていうことをやっていこうと伝えてます。理想通り行くことの方が少ないんで、それはどう修正しながら次に向かっていけるか、ということは自分の中では大切にしてるところです。」
ミスをするのは当たり前。そのミスを選手みんなでカバーすることを求める。
チームに加入した外国人選手、ナイジェリア出身のピーターウタカ。その独特のセンスと決定力から攻撃の要として期待されていた。
しかし、森保は彼の守備の力がやや低いと感じていた。攻撃が終わったらすぐに切り替え守備に戻る。チームの基本を繰り返し徹底して求めた。組織で戦う意識を高めることには一切妥協しない。
一喜一憂せず、次への最善の準備をする
負けが続くなか、森保に焦った様子は全くなかった。
いつもと同じように次の試合への準備に集中する。
「目の前の試合に向けて最善の準備をするっていうことしか考えてないので、結果に一喜一憂しない。」
そんな森保の前向きな態度はチーム全体に良い影響を与えている。
ある選手からは
「勝った時に必要以上に喜び、負けた時に必要入れるか落ち込んだり、そういう監督であれば、なかなか選手は平常心でいることは難しいと思うんですけど、結果に一喜一憂することなく自然として、そこは本当に心強いです。」
一喜一憂しない。
その背景には過去の実績に関係なく、練習で良いパフォーマンスをした選手が試合に起用されるという森保の原則がある。
練習はお金が取れると称されるほど激しい練習。練習では緩みがちになる球際の攻防も実戦さながらのぶつかり合いだ。
「キレイに試合に勝とうと思わんでいいから、泥臭く、局面局面を勝っていく。みんなで粘り強くしのいでチャンスを作っていこう。」
監督は選手の”心”を預かる仕事
午後3時、午前の全体練習が終わった後に選手はまた走り始めていた。二部練習だ。
指導はコーチが行う。森保はよほどのことがない限り、二部練を見続けるが見てくれている若手にとっては絶好のアピールの機会だ。
「試合の経験を平等に与えることは出来ないですし、でも練習を通して間違いなく成長できるように、次の道に繋がっていくことはしていきたいなとは思います。」
「選手は厳しい練習をいっぱいしなければいけなくて、嫌がるかも知れないですど、僕らにとっては選手を少しでも伸ばしたいという気持ちを忘れずにサポートしていければと思っています。」
選手の起用に最も神経をすり減らす。
森保は監督として忘れてはならない大切なことがあるという
“心”を預かる仕事
「采配に関しては、選手を一つの駒として扱わなければいけない。そういう仕事ですけどま、選手にはみな”心”があると思ってますし、選手の”心”を預かる仕事だという風に思ってます。」
森保一のそのサッカー人生は、敗北の人生だった。
長崎県での高校時代では、全国大会常連校の国見高校に何度も苦杯を舐めた。その後、実業団に入っても実力の差に愕然とした。スピード・技術・高さ・全てにおいて最低レベルだった。
そんな森保さんだからこそ、試合に出られるのか、努力は本当に評価されるのか、不安や迷いを抱く選手の気持ちが分かるのだ。
「みんなロボットではないので、その試合に出るために努力を日々続けてくれているので、そこのところの心があるということを、そこを忘れないようにしようと思っています。」
森保一のこだわり 人との接し方
1.いつでもどこでも話しかける
森保氏は、思えば時と場所を選ばず、選手に話しかけると決めている。
「お互い喋っていることが心にすっと入っていくタイミングっていうのはあると思いますので、そういう機会をみて話すってことは大切かなと思います。」
「ただ選手は傷ついているような状態で追い打ちをかける状況であれば、違うタイミングで振り返ったりとかその時々、いろんな状況を見て話しかけます。」
2.声をかける時は「質問」から
「選手を見て、僕はこういう風に思うと、一方的に伝えても、選手は違う思いや感覚を持って聴いているかもしれないですし、そこはまず自身はどう思ってんのかっていうことを聞いてあげたいとは思ってます。」
3.笑顔で終わる
「下を向いてても次のエネルギーにならないと思いますし、いいイメージをできるだけ持ってもらえうように、ポジティブなイメージで次に進んでいけるように。そういう働きかけをしたいとは思っています。」
逆境でこそ、「自分の基本」に立ち返れ
チームの状態は上向きつつあった。
一人グラウンドを走る選手がいた柏好文。柏は前の試合で今シーズン初めてスタメンから外された。
誰もが常に厳しい状況に追い込まれるプロの世界伝えたい信念があった。
逆境でこそ、「自分の基本」に立ち返れ
逆境でこそ自分の基本に立ち返る。
森保氏がこの信念を胸に刻むようになったのは、日本サッカー史上最大のどん底とも言える経験をしたからだ。
あのドーハの悲劇。
勝てば悲願のワールドカップ初出場となる。最終予選、森保氏は自分の役割である泥臭く相手のボールを奪い続けた。
2対1で日本中が歓喜の瞬間を待っていた。終了間際に失点し、夢は終わった。
「夢遊病者のように思考回路が回っていたいない中で、フラフラフラフラ、頭が真っ白、なんでワールドカップに行くことができなかったんだろうみたいな」
心が折れた。でもサッカーはやめきれなかった。
「それでもやらないといけないと思いますし、人生はずっと繋がっていくと思うので、それでもやっぱやり続けていかなければいけないという気持ちは、大切にしていきたい。」
森保氏は再び、自然体で、自分らしく。自分の基本に立ち返り、サッカーに取り組んだ。
「やると決めたら思い切って腹くくってやる。短所が長所には絶対変わらないですし、そういった意味で自分の長所とはなんなのか。自問しながらそれを伸ばしていく。」
この日、森保は力を発揮できずにいた柏に声をかけた。
「去年良くなっていたところが、今年少しさらに良くするためには、もっとトライすることは必要。」
柏は、次の試合、本来のアグレッシブな走りをみせ、90分走りきった。距離にして12キロ以上走り続けた。
逆境にこそ基本に忠実にやり続ける
監督は人の心を預かる仕事。ストレスはないのだろうか?
「ストレスはないですね。プレッシャーとか期待を背負って仕事できるとか戦えるのはすごい幸せなことだと思いますし、喜びをもって仕事出来ていると思います。」
「逆境に立たされたりとか、いま自分の思い通りにいかなかったりする時も、基本に忠実に。それをやり続けることができる人こそプロフェッショナル」
“逆境にこそ基本に忠実にやり続けることがプロフェッショナル。”
仕事においていかに「逆境」の状況は誰しもあります。その時こそ自分の基本に立ち返り、むしろ自分に向き合う機会だと捉え、取り組む。その大事さを森保氏から教えられた気持ちでこの回を見終えました。最後に決まりの締めで語るプロフェッショナルとはの上記の言葉にもその精神が垣間見えます。
番組情報・書籍紹介
NHKサイトからも森保一氏の回の様子を読むことができますので御覧ください。
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