【おすすめ短編小説】西加奈子「炎上する君」【全編あらすじと感想】

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“奔放な想像力が紡ぎ出す愛らしい物語”又吉直樹

西加奈子さんの短編、設定や物語が自由闊達にどこに転がるか、そもそも彼や彼女は人間なのか?すら分からなくなってくる。けれどもコミカルに愛らしく、紡ぎ出される物語達。それを読むことができることが唯一できる「人間」として生まれて良かったと思える人間賛歌な短編集。

 

太陽の上 西加奈子

外に出ていきたくなる短編

太陽という中華料理店の上に住み3年間家を出ていない女性。床が薄く、階下の中華料理店の店主と奥さんが住む部屋の声が聞こえてくる。性交を重ねる声も聞こえる。しかし、それは時に店主と奥さんではなく、お店のスタッフと奥さんである。性交を聴きながら、彼女はきょうが誕生日であることをふと思い出す。コミカルに強く、誰の孤独も「太陽」は照らす物語。

空を待つ 西加奈子

作家の女性は創作の合間に散歩をしてた夜道で、決して上手くは撮れていない空の待ち受け画面の携帯電話を拾った。明日交番に届けよう。そう思いながら家に持ち帰った携帯電話に「あっちゃん」からメールが届き返信してしまう。

【おすすめ短編小説】「空を待つ」 西加奈子 空を眺めるようにひとの心象を眺める短編【あらすじ感想】

甘い果実  西加奈子

ああ、好きだ。好きだ。好きだ。 私は、山崎ナオコーラに、ラブレターを書いた。長い、長い、ラブレターだった。 それが、私のデビュー作になった。 生年月日も家族構成も山崎ナオコーラと同じ。作家を目指していた彼女は、山崎ナオコーラに嫉妬と憧れを抱く。山崎ナオコーラに対する気持ちは膨らみに膨らむ。当初の寂しさや卑屈の向こうにあった愛好が、勇気とデビュー作を与える。

炎上する君 西加奈子

梨田と浜中は、高校の同級の親友、男子には学徒動員、火垂るの墓と揶揄されるほど男性にはあまり好かれないルックスと、それに反比例するような知性を持つふたりがバンドをはじめ、街なかで突如噂になった足が燃えている男を探す冒険。

【おすすめ短編小説】「炎上する君」西加奈子 彼女たちがみつけた冒険と戦闘【あらすじ感想】

トロフィーワイフ  西加奈子

“まごちゃん。忘れないで。私は、私の人生が好きよ。幸せだったと思うわ。でも、私は、生まれ変わったら、蟋蟀を捕まえたいの。鼠を爪でしとめたいの。血だらけになっても、傷を負っても、立派な馬を、乗りこなしたいのよ”

トロフィーワイフとは、男性が成功して年老いた時にこれまで連れ添った妻を捨て、若い女性を妻とすること。そんな呼ばれ方をする彼女とその孫まごちゃんとの会話。これまでの人生に後悔はない。ただ、もう一度生きるとしたら、どうするだろうか?一回性の美しさ、尊さ、愛おしさの物語。

私のお尻  西加奈子

‬ ‪”私の目から、涙が溢れてきた。‬ ‪これは、私のお尻だ。私の。私の。ああ、なのになぜ、愛せないのだろう。いいえ、こんなにも、愛している。なのに、憎くて仕方がない。‬ ‪私を決定的に変えてしまった。私のお尻。”‬  ‪

お尻のパーツモデルをする女性。そのお尻は彼女に幸せと不幸せを与えた。仕事も恋愛、そのお尻のおかげで上手く行ったが、求められていたのは、「私」ではなく、「お尻」だった事実。ある日、見知らぬ男に、自分が忌み嫌う自分のものを保管できる不思議な場所に案内されて。

舟の街  西加奈子

とことん参った時に読みたい短編

“あなたの腕は、力強く風を切ったが、風とあなたの間に境界はなかった。しばしば自分の体から意識が抜け出すことがあったが、世界と自分との境界が曖昧になればなるほど、あなたは自分の存在を強く感じた。”

途方にくれたあなたは、誰かから聞いた「舟の街」に行こうと思い立った。いつの間にか、ついてしまったその街は自分の意思のまま、いつの間にか家があり、食べ物があり、人がいる。快適なその街であなたは自分を取り戻し、再びもとの街へ戻る。

ある風船の落下 西加奈子

ひとに会いたくなる短編

身体が風船のように膨らみ、宙に浮き上がる奇病が流行する。自殺願望を抱いた人が患う仮説に、罹患者は追い込まれる。空高く浮き上がり、重力や人間関係に解かれ、ただただ浮かび続ける世界に、彼らはひとつの答えを見出す。人間賛歌。

 

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