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概要 【情熱大陸】登山家 山岳カメラマン・平出和也
未踏峰・未踏ルートにこだわり、世界が驚く数々の新ルートを制覇してきたトップクライマーの平出和也。2009年には登山界のアカデミー賞とも言われる「ピオレドール賞」を日本人として初めて受賞。また、自らの登攀映像を撮り続け山岳カメラマンとしても世界的に活躍する39歳だ。
去年の夏、平出は実に15年間にわたって挑み続けてきたパキスタン・カラコルム山脈の「シスパーレ」に4度目の挑戦の末、成功。北東壁に新たなライン(ルート)を引き、その難易度と執念が、世界からも絶賛された。
あれから1年・・・平出は燃え尽きていた。シスパーレのように、全てをかけて挑めるような山が、今後見つかるのだろうか・・・?
番組では、再びパキスタン・カラコルム山脈を訪れた平出に密着する。彼が「次なる山」として見据えているのは、標高8611m、世界第2の高さを誇る「K2」だった。高さこそエヴェレストよりも低いものの、厳しい気候条件や雪崩、滑落の危険性から世界で最も登るのが難しいとされ、遭難者が極めて多いことから「非情の山」とも呼ばれている。
平出はこの6月から1ヶ月、K2の偵察に入った。いまだ誰も登ったことのない西壁からの新ルートを見つけるためだ。衛星写真以外では、殆ど資料や写真がなく、登ってみないことにはその姿を目にすることは出来ない。果たしてどんな場所なのか・・・天才クライマーが挑む「K2」の知られざる姿と、平出の果てしない挑戦の人生を追った。
登山家 山岳カメラマン・平出和也のプロフィール
1979年長野県出身。元々、陸上の競歩選手だったが、ルールの定められた中で人と競いあうことに疑問を持ち大学2年の秋に山岳部へ。そこで山の世界の虜になる。
少人数で、荷物を軽量化しスピーディーに登る「アルパインスタイル」を得意とし、誰も足を踏み入れたことのない未踏峰・未踏ルートにこだわってきた。これまでヒマラヤの8000m峰を5座、7000m峰を10座、6000m峰を4座制覇している。また山岳カメラマンとしても活躍し、平出にしか撮れない映像を求めて日本のみならず、海外からも依頼が舞い込む。2017年、登山家とカメラマンとしての実績が認められ、植村直己冒険賞を受賞。1年の3分の1程度しか自宅に戻らないが、2児の父親でもある。39歳。公式サイト
平出和也が山に受けた思わぬしっぺ返し
地球上にはまだ誰も辿ったことのない道がある。
男はその道に魅せられてしまった登山家にして山岳カメラマン平出和也。
全てを忘れて未踏峰あるいは未踏のルートにひたすら挑み続けてきた。
酸素ボンベに頼らず、ごく少人数で達成してきたそのレベルは世界屈指だろう。
挑戦の美しい映像を持ち帰った。2006年、山岳会で最も栄誉あるピオレドール賞を日本人として初めて受賞。他にも受賞歴は華々しい。2017年夏にはパキスタンのシスパーレを難攻不落と言われた北東壁から攻略した。15年越し4度目の挑戦で成し遂げた偉業。人を寄せ付けずにきた絶壁は過酷を極めた。全身を貫いた凄まじい達成感には、しかし、思わぬしっぺ返しがあった。
「頑張れない。あの夏にあまりにも燃え尽きてしまった。そこまで自分が燃え尽きるとは思っていなかったけど、次に自分は何をしたいのかなっていうのは本当に分からない。」
世界第二の高峰、K2へ。平出和也の新たな挑戦
目的を見失った男が、今年2018年向かったパキスタンの奥地にそびえる世界第二の高峰、K2。命の重さに触れてしまった男はその重さを量り受けずにはいられない。
「今回は偵察です」平出はそう言ってパキスタンに入った。すでに標高は2000 M 以上。高地順応に縄跳びは格好のトレーニングらしい。
K2偵察の旅には相棒がいた。6年前から組んできた中島健郎。
K2は、1954年の初登頂以、いくつかのルートが開かれている。それでも死者を出さないアタックはないと言われるほど難易度は高い。
平出はゴール地点をいままで開かれていないルートで向かう。そのアタックは当然、情報は全くない。
「理由なんてね。ただ何かできた時にもっとなんかできるんじゃないかなっていう錯覚を起こしてしまうんですよね。このぐらいできたからもっとでかいことができるんじゃないか。でもそれをやるっていうのは非常にリスキーなんで、自分の命がかかってきてしまう。そのバランスを探りながらですね。」
K2への入山、ベースキャンプまでは四駆者が進めるのは初日だけだった。
平出の山を映す映像写真は周到な計算と無数の失敗の賜物だ。難しい山でも極力自ら記録するスタイルを貫いてきた。登山の道中で撮影を忘れない。
7日目。標高4500 M を超えた。ようやくK2が見える場所までたどり着いた。けれど分厚い雲に視界を遮られる。現地で雇ったポーター達がテントを設営していた。ベースキャンプだ。
平出達はさらに奥へ向かい、誰も知らない障壁を偵察する。無論そこから K2を撮影するのは世界初の試みだった。
「今年の K2はまるでアフガンの女だ」とポーター達が口を揃える。いつまでも顔を拝ませてくれない。障壁の麓に向かうには天候の回復を待たなければならない。
募る思いを縄跳びでなだめる。酸素は平地の2/3。
数日後、わずかな晴れ間を確かめて、二人は出発した。待ち受けていたのは一面の氷河。お互いの身体をロープでつないだ。
雪に覆われた大地にはあらゆる危険が潜んでいる。山は人間の営みを追い払うように口を開ける。足を踏み外せば、ひとたまりもない。しかも進むのは幅40CM ほどの氷の上。
「僕の人生で、子どものいる生活って考えたことがなかった」
平出には家族がいる。福岡県、田川市。妻の出産と長男を見守るため日本を立つ間際まで妻の実家に滞在していた。
妻の祥子さんは登山とはほとんど縁がない。知人の紹介で祥子さんと結ばれた守るべき命を得て意識は変わった。
「僕の人生で子どものいる生活って考えたことがなかった。危ないから多分子どもは持てないだろうなって思ってた時期の方が長くて。」冒険家の使命は何が何でも生きて帰ることに変わった。
入山から11日。雪と氷の大地で人間はあまりにもちっぽけだ。とてもまっすぐには進めない。中島が迂回して進路を見つける。しかし、中島に一瞬の油断があったのか。反射的にスイッチを入れたカメラには、底なしの深みを映し出すクレバスだ。
平出はロープ一本で相棒を支えていた。溝の隙間はおよそ50CM。全身で踏ん張りながら脱出の道を探す。わずかな足場を見つけて、雪に埋もれないよう装着していた器具を外した。氷を相手にするには鋭く尖った歯に変えなければならない。溝から這い上がった中島。平出に無事を伝えるため大声を上げた。雪に隠れたクレバスは網の目のように囲っている。
テントは少しでも荷を軽くするため一人用だった。今日はここで一夜を明かす。生と死の境を垣間見ながら二人は平然としていた。
翌日も怯むことなく、前進。視界が白でなくなり相棒の背中しか見えないなか、その雲の先にはK2が屹立しているはずだ。
ここでテントを張り、粘ること5時間後。僅かな晴れ間に屹立が垣間見えた。目の前にこんなでかい頂きがあったとは。標高8611 Mこの位置から頂上までの高低差だけでも3000M。
神々しい姿を見せ始めたK2の障壁。ここに足跡を刻みたい。欲望が再び動き出す。平出は世界のトップクライマーが思わず身を乗り出すような映像をものにした。傾斜はざっと70°。俺は登りきれるか様々なルートを思い描いては諦める。その5分が平出を覚醒させていた。
「いま見ている感じだと行けて半分。見れば見るほど恐ろしいよ。」
「見えてしまった。見えてしまった。よかったんですかね。まぁだからこそ自分に何が足りないのかっていうのも分かったし」
偵察を終えた二人はいつになるかわからない挑戦を夢想してはしゃいでいたとき、一方が届いた。
二人のいるパキスタンに届いたのは2度目となるピオレドール賞ノミネートのお知らせ。中島と組んだ去年の登坂が認められた。
でもいまの平出の心の中は、K2への思いでいっぱいだ 。登るべきは己の中にそびえる。まだ見ぬ山かもしれない。
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