きょう、 生まれたひとの言葉

【おすすめ短編小説】「空を待つ」 西加奈子 空を眺めるようにひとの心象を眺める短編【あらすじ感想】

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西加奈子さんの短編小説「炎上する君」の収められている「空を待つ」をご紹介します。空の描写が心象風景と重なる文章、届くはずのないメールが空に溶けていくような空虚な空が可能性に満ち溢れた広がりだと気づかせてくれる短編です。

空の待受け画面の携帯電話を拾った

作家の女性は創作の合間に散歩をしてた夜道で、決して上手くは撮れていない空の待ち受け画面の携帯電話を拾った
明日交番に届けよう。

そう思いながら家に持ち帰ったが拾った携帯電話に「あっちゃん」からメールが届く。

持ち主の恋人か親しい友人か?軽い好奇心といたずらな気持ちで持ち主を装い返信をする。

持ち主からこの電話に連絡があったら返そう。

あっちゃんとのメールのやりとりが心地よく、罪悪感はあれどもう少しだけとメールは続く。

仕事のこと日々のこと、他愛のないことにもいつも自分を勇気づけてくれるあっちゃんに次第に高まる気持ちに任せ「会いたい」とメールを送る。あっちゃんから返信がくる。

空を眺めているようにひとの心の色を眺める

 

橙朱赤紫青藍と夕暮れ時をめぐり空は色を変える。

作家が生きる都会のビル群の合間に見える空の色の描写に作家の孤独感や繋がりに焦がれる心象が重なる。

空を待つ、というタイトルのなかに含まれるのは携帯の待ち受け画面だけの意味ではなく、願いや祈りのような誰もが抱える他者を求める切実な想いが込められている。

それは一番の他人とも言える自分自身さえも大切に寄り添おうとする想いだ。

誰のものかもわからない携帯電話に届く、誰かもわからない他人に自分の心が開かれていく。

他者とのやりとりに発する言葉は、自分の心にも通うことがある。

他の短編のあらすじは下記記事で紹介しております。

【おすすめ短編小説】西加奈子「炎上する君」【全編あらすじと感想】

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