きょう、 生まれたひとの言葉

【おすすめ短編小説】「突然ノックの音が」 ~嘘の国~ 嘘が教える一つの真実【あらすじ感想】

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「突然ノックの音が 」 エトガル ケレット を拝読。

イスラエルを代表する人気作家による驚きと切なさとウィットに満ちた38篇。人の言葉をしゃべる金魚。疲れ果て た神様の本音。ままならぬセックスと愛犬の失踪。噓つき男が受けた報い。チーズ抜きのチーズバーガー。そして突然のテロ――。軽やかなユーモアと鋭い人間観察、そこはかとない悲しみが同居する、個性あふれる掌篇集。映画監督としても活躍する著者による、フランク・オコナー賞最終候補作。by Amazon

嘘つきなロビーがある日、嘘の国と出会う

今回の短編は「嘘の国」。

嘘つきなロビーがある日、夢の中で、昔ついた嘘のエピソードの続きに出会う。

母に買い物を頼まれたロビーは、途中でアイスクリームを買ってしまい、お釣りの小銭を石の下に隠す。母には前歯の欠けた赤毛の男の子にぶん殴られ取られたと嘘をつく。

夢の中で母はガムを買ってくれとせがむ。小銭を探すロビーに「あの石の下にまだあるだろう」と探してくるよう言う。

夢から覚めたロビーは、小さい頃に小銭を隠した、あの石の下に行く。

石をどけると、小銭はなかったが、穴がある。その穴に手をいれると・・・。

穴の中に迷い込んだロビーが出会ったのは、昔自分がついた嘘につかった人や動物だった。

「君は誰?」目の前に立っている赤毛に聞いた。

「おまえの最初の嘘だよ」

前足しかない犬が興奮してこちらにやってくる。車に轢かれて骨盤から後ろがなくなった犬の嘘を思い出す。

その傍には両腕のない老人が寄り添っていた。この老人は自分がついた嘘の人物ではない。どうやら誰かの嘘の人物だった。

名前をイゴールというその老人は

ロビーがついた嘘の犬と一緒にいることができ孤独ではなくなったと

ロビーに感謝の言葉を伝える。

現実に戻ると、ロビーは人々が信じる程の大げさで悲しい嘘をつくのをやめ、嘘をつくとしてもせめて肯定的な嘘をつくように心がけ、そして次第に嘘をつくこともやめた。

嘘が教えてくれる1つの真実

大人になったロビーは、たまたま同僚ナターシャが会社を休む口実を耳にする。

「叔父のイゴールが心臓発作で倒れたの・・・」

ロビーは昔穴の中で出会ったイゴールを思い出し、彼女をあの場所に連れて行くと・・・。

ロビーとナターシャが嘘の国で見つけた真実で幕を閉じる。

 

嘘と現実がパラレルに存在する世界。もちろんそれこそ「嘘」なのだけれど、嘘だからこそ語ることができる真実があるような気がする。

なぜひとが嘘をつくときは、大げさで悲しくネガティブな嘘をつくのか。

なぜ肯定的な嘘をつくことを選ばず、選んでも次第に嘘自体をやめてしまうのか。

そして、嘘をつく自分や嘘をつかれた他者に共通してあるのは、

その嘘を「信じる」ということ。

嘘はもちろん嘘だけれども、その嘘を信じたという事実は真実であること。

嘘をつくことで真実はもうひとつできる不思議。

人間がこれまでもこれからもずっと付き合っていく「嘘」に対する付き合い方を考えさせられ教えられた気がする短編。

 

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