
「なめらかなお金がめぐる社会」
家入一真
小さな経済圏と、クラウドファンディングの仕組み、日本人の経済人としてのメンタリティなど、マッチョな資本主義でなく、小さな経済圏について過去から現在、未来まで見つめた本をご紹介します。
目次
「なめらかなお金がめぐる社会」がこれからより求められる
なめらかなお金とは固定的、流動的というような言葉よりももっと小規模に、人間的にお金が巡られている小さな経済圏のことであり、クラウドファンディングという仕組みにより益々お金はなめらかに巡るようになってきました。
そんな現在の小さな経済圏と、クラウドファンディングの仕組み、日本人の経済人としてのメンタリティなど、マッチョな資本主義でなく、小さな経済圏について過去から現在、未来まで見つめた本です。
ギブアンドギブの精神や態度であろう
“give&giveといえば、バーニングマンというイベントを思い出す。バーニングマンの10の原則は21世紀型の手がかりになる”
著者はこれからの個々の経済観をアメリカのお祭りの原則をヒントとします。
バーニングマンというアメリカの祭りにはバーニングマン10の原則があります。
- どんな者をも受け入れる共同体である
- 与えることを喜びとする
- 商業主義とは決別する
- 他人の力をあてにしない
- 本来のあなたを表現する
- 隣人と協力する
- 法に従い、市民としての責任を果たす
- 跡は何も残さない
- 積極的に社会に参加する
- 「いま」を全力で生きる
上記原則これからの社会に忘れずに意識したい行動指針になると説きます。
この行動指針がそのままお祭りの魅力であることから、人が潜在的に求めている世界観がここにはあります。
この世界観に根付く価値観は「ギブアンドギブ」であり、日本的にいうと利他主義、互助精神、助け合いなんかが当てはまるかと思います。
世界規模で経済は膨らみ、格差が日々広がるなかで、人間が本来もつ他者を思う感覚でお金を扱おう、またはお金を介さなくてもできることはしてみようといった視点が見えます。
それが実現されている社会を著者は「小さな経済圏」と言っております。
具体的に挙げた企業や人をご紹介します。
小さな経済圏な企業や人々
海士町に住む若者
海士町は多くの若者が集まってきて最近人気の街になっております。
もともと住んでいた老人や地域の方々と移住してきた若者とのつながりは孫や親のように人間的なつながりが発生しています。
ここでは生活にかかる費用も少なく、若者は収入的にも最低限必要な収入が低く設定することができます。それが要因ともなって、著者が合う若者の顔は余裕に満ち溢れています。
シングルマザー限定で、月四万円の家賃を払えば、お米が食べ放題なシェアハウスを運営している企業。
http://mother.pre-share.com
HASSADAI
ヤンキーインターシップという独自のインターシップしている企業。
16~22歳の中卒高卒限定、東京のシェアハウスで生活しながらインターンをする。生活費は無料かつ給与も支給される。インターシップ期間が就職活動でもあり、就職を目標とするインターシップ。
https://hassyadai.com/service/yankee_intern/
小さな経済圏な人
大阪西成地区に50円玉を50円で売っているホームレスがいるそうです。
経済価値は変わらないが、そこに発生するコミュニケーションの分プラスであるとホームレスは言ったそうです。
アグリバディ
アグリテック企業。アグリテックとは、農業とITを掛け合わせた新しいビジネススタイル。ソーシャルファイナンス事業としては、日本でお金を集めて、カンボジアの農家に融資しています。新興国の融資制度の整備が遅れは資金調達も遅れ成長と遅れます。今後の経済的成長を促す社会的意義のある事業です。
ソーシャルインパクトボンド
ソーシャルインパクトボンド(社会的インパクト債)とは、
官民連携の社会的インパクト投資の手法の一つである。行政サービスを民間のNPOや企業に委託し、民間の資金提供者から調達した資金を基に事業を行い、事業が予め合意した成果を達成した場合にのみ行政から資金提供者に報酬が支払われる。民間資金によって社会的コストを削減する事業が実施できれば、行政コストも削減されるうえ、資金提供者がリターンを受けることができるという仕組みであり、事前に設定された目標が達成されない場合、行政から資金提供者への支払いは発生しない。対象とする社会課題の性質、施策を行う事業者、目標の設定、評価機関、そしてそれらを管理する中間支援組織のいずれもが重要な要素となる。
日本のソーシャルインパクトボンドの一例として、
横須賀市と日本財団、児童養護施設
への取組をスタートしたことを紹介しています。
http://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2015/40.html
レモネード
アメリカの家財保険を提供するインシュアテックのベンチャー企業。
P2P保険
顧客から集めた保険料から保険金を支払った剰余金は、一般的には、保険会社の利益ですが、レモネードはその剰余金を貧困問題、病児問題など社会的課題に寄付する仕組みになっています。どんな領域に、寄付するか選べるので、グループができ、お互いに協力して保険料を下げようとするインセンティブが働いているそうです。
本当の自立は助けてくれる人を見つけること
“本当の自立っていうのは一人で生きていくことじゃなくて、いざというときに助けてくれる人を見つけることなんだよ”
熊谷晋一郎 難病を抱えた車椅子の医者
著者は自立について、上記の言葉を紹介してくれました。
人は子供から大人になって自立を足されていきます。自立とは経済的自立が主に自立と言われているのですが、彼の言う自立は経済的自立や身体的自立等において困難をきたした時に誰がそばで助けてくれるかということです。
助けてくれる人を見つけられるか、また、助けてとSOSを出せるか。
その関係構築と相手の信頼を自身の力で作ることができるかがこれからを生きる上で必要なマインドであり、スキルであるのかもしれません。
今後の展開、日本はクラウドファンディングの可能性
5000万円のプロジェクト一個よりも、五万円のプロジェクトを1000個作りたい。従来の金融のあり方のままでは美大生の個展や若者のフリーペーパーなど相手にされないような人たちの受け皿になりたい。
クラウドファンディング保険
クラウドファンディングには、目標金額達成してもリターンが返ってこない事態があるそうで、その対応策として、クラウドファンディング保険を展開していくそうです。
クラウドファンディング保険でが実現されれば、支援者には補償金があるので今後より支援が増えることが期待されます。
ちなみに、この点で、著者は日本という国や国民性に期待しています。
なぜなら、クラウドファンディング先進国のアメリカももちろんあるが保険料が高いまたはリターンが返ってこない数が半数にのぼるそうです。
しかし、日本はほとんど返ってこない事例がほとんどないそうで、これは国民性に起因しているのではないか、日本には古くから融資や支援制度が内輪でされている文化があります。
例えば、
頼母子講(たのもしこう)無尽(むじん)などの内輪で資金調達ができる慣習があります。
また、生協の仕組みが上手くいった数少ない国としていまでいう「シェアリングエコノミー」の成功国としても日本は誇れる実績がありますし、日本は言わずと知れた保険大国です。
「備えあれば憂い無し」の備えの部分が日本では、先述のような形で根付いています。
最後に
ITの進化にともない、人々のつながる量や速度も日々進化してます。クラウドファンディングを一例に挙げた書籍ですが、今後いろいろな形でこのような「なめらかなお金」が巡る社会が実現されていく予感を味わった読後感でした。
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