【言葉・名言】77歳、これからの人生に胸がワクワクしている。加藤一二三 棋士

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 “いま77歳、これからの人生でもいろんなことが私を待っていると思うと胸がワクワクしている。”

出典:棋士 加藤一二三 NHK 加藤一二三という男、ありけり

 

対局数2505局1324勝1180敗

60年棋士であり続け誰よりも負けた棋士の、引退しても心踊らす姿に勇気が湧く。

好奇心が人を強くする。

彼の溢れ出る好奇心が将棋に注がれ続けたからこそ、誰よりも負けた実績があったのだろう。

なぜなら誰よりも負けたということは、誰よりも勝負ができる場に居続けない限り成し得ない実績であるから。棋士としての実力はそのひたむきな好奇心の元に磨かれてこその実力であり、引退しても、とどまることのない好奇心に人間としてのエネルギーというか強さを感じる。

仮に自分が77歳になったとして、ワクワクすると言えているだろうか。好奇心が溢れ出ている心持ちでいられているだろうか。少し先の自分を想像すると、加藤氏のこの言葉はとても素敵な言葉としてより心に刺さる。

そして、いま自分はワクワクしているか?そう少し先の未来の自分から問われているような気がしてくる。好奇心を忘れずに。

1180敗、最も負けた男の凄さ

トップレベルで活躍した人の大半は負けが続いたり、階級が落ちると引退を決意する。しかし加藤氏は続けることを選んだ。

これがどのくらい凄いことかというと、相撲の横綱が十両に落ちても相撲を取るようなことだそうだ。

十両でも続ける力士を知らないし見たことはないが、それがつまり、将棋界で実在した加藤氏そのものの在りようだと思うと、凄いとしか言いようがないものがある。

誰よりも敗けたことがあるという実績が、将棋そのものではなく、人間としての強さを物語る。どんなに勝ち続けた人であろうともいつかは負けるときがくるならば、その負ける姿にこそ人は自身の負ける時の心情を重ね、よりその姿に惹かれていくのかもしれない。

散り際の美しさ。花はいつでも美しいもの

“加藤一二三は桜の花びらのようです。満開の桜も水面に散った桜も花びらは変わらずに美しいでしょ。”

加藤一二三の妻の言葉

加藤一二三氏の妻が語った氏の印象。桜の美しさに例えるそれ自体が美しい。満開に咲く桜はもちろん、散り際の桜も、散り落ちた桜の花びらも等しく美しい。人で言い換えるなら、成功していても失敗していても老若男女、過去未来、いつでも人はその時のその時の美しさがある。

つい、勝ち負けにだけにとらわれてしまいそうになる世界に、この一言で救われる人は多くいると思う。

思いやる暖かさに心が温まる

言葉ではないが、心温まるエピソードで終わりにしたい。

冬場の対局に、加藤氏は自前のストーブを用意し暖をとりながら将棋を指していた。対局中盤に対戦相手が急に「熱いんですけど」と怒った。

加藤氏は相手も寒いだろうと自分のストーブを相手に向けていたそう。

思いやりが招いた結果にこちらも温かくなる。

彼の人柄や人生観は、将棋を知らない人々にも愛される「美しさ」がある。

それは、誰よりもただただ敗けを重ねた男のはずがないひとつの証左だろう。

【書籍紹介】

通算1100敗超―14歳で史上最年少棋士としてプロデューするや18歳でA級八段に昇段するなど「神武以来の天才」と称された加藤一二三九段は、将棋界の寵児として活躍し、数多くのタイトルを獲得する一方、じつは歴代で最も多くの敗戦を記録している棋士でもあった。「将棋の負けに無駄な負けはひとつとしてありません」と断言する著者が、現役生活60周年を迎え、初めて自身の敗戦を振り返り「負けて強くなる」秘訣、そして「敗れてもなお積み重ねていくことの大切さ」を語る。

「剛毅であること」「謙虚であること」「柔和であること」「美しいこと」など、生きていく上で大切なことを、歴史に残る数々の名局と聖書の言葉を織り交ぜながら、天才・加藤一二三が語り下ろした「元気の源」そして「21世紀の幸福論」。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。