【おすすめ短編漫画】「休日ジャンクション」真造圭伍 【全編あらすじと感想】

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概要 「うまくいかないことばかり、それでも生きていく」

映画『森山中教習所』の原作者でもある真造圭伍、待望の短編全7編収録。休日をテーマにした各編につながるのは、「うまくいかないことばかり、それでも生きていく」という言葉だろうか。
もっと遠くまで行けると思いがちな休日でさえ、現実はそうもいかず、また同じような毎日である日常に戻っていく。登場人物の現実との折り合いを主に置くなか、それでもそんな日常が少しでも良くなればと願う気持ちのささやかな「希望」が静かに提示されているよう。ぶっとんだ編もあり、泣ける編もあり、真造圭伍氏のセンスがこの短編集でわかるおすすめの作品です。

休日 真造圭伍

あの頃の衝動で海にいけなかった短編 

3ヶ月ぶりに会う学生時代の友人を車で迎えにいった。友人は前歯がなくなっても、歯医者に行くお金がなく、そもそも働いていなかった。自分は明日も仕事で早いのに、彼はこのまま海に行こうかと学生時代のノリを出す。行きたい気持ちともう行けない気持ちがないまぜになったような感傷的な休日が終わろうとする。大人になると、あの頃ノリで行けた海が行けなくなるのかも知れない。明日も仕事、大人になった誰しもにおすすめの短編です。
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兄と妹 真造圭伍

写真に頼るな、目で見る大切さを教わる短編 

漫画家の妹と同居の兄。兄は妹の健康に気遣いジムに誘った。身体がついていかない妹。兄の普段見せない運動能力と普段行かないジムをマンガの資料にと写真を取ると「写真に頼るな、目で見ろ」と兄に言われる。目で見ることはそのまま心が動く様を焼き付けること。今日のことを、いつもは写真で抑えていただろうシーンをソラで描いた妹。いい休日になった。いつも写真に頼ってしまう人におすすめの短編です。

美少女なんて大嫌い 真造圭伍

あの頃の自分は今の自分ではない、当たり前のことに気づく短編 

近所の美少女の花ちゃんとたまたま仲良くなったシゲルはお互い好きなバンドのライブを見に行くことに、幼少の頃に叶えられなかった想いを彼女に託してしまったシゲルの気持ちと、少しだけ背伸びがしてみたかった少女の休日。幼少を思い出すような時、あの頃の自分には戻ることは出来ないし、いまの自分がやり直すようなこともできないという当たり前に気づかせてくれるおすすめの短編。

ゴジラカップル 真造圭伍

町にゴジラがやってきた休日のカップルの短編

ゴジラがやってきてもセックスを続けるカップル。こんな状況でしてるのは自分達だけだと、さらに燃えてしまう。ゴジラがいよいよ近づいて、防衛軍が交戦するそばでもやめようとしない。ゴジラが通り過ぎて行ったとき、ふたりもいった。うそみたいな休日。日常と非日常の組み合わせとそのコントラストが面白くおすすめです。

つりぼり松田さん 真造圭伍

釣り堀に訪れた夏の思い出の短編 

松田さんは日曜日の休日に居場所がなく、いつものように釣り堀にいた。隣には何回か見かけたことがある若い女性がいた。釣れるコツを教えたことで少し話が広がる。彼氏と別れて、一人さびしく釣りをしている彼女を松田さんはごはんに誘おうと声を振り絞った。男は偶然というか非日常を夢見がちというか、歳柄にもない松田さんの心が動く様がなぜか共感できてしまう夏の思い出。おすすめの短編。

がんばれよういち 真造圭伍

うまくいかないことばかり、それでも生きていく短編 

よういちは父の好きなトライアスロンの選手として、地方大会に参加した。本人が好きというよりも父の期待に応えたい想いで続けていた。今回も入賞できず、結果も芳しくなかった。気丈に振る舞うよういちに父がかけた一言で、よういちの心のうちが溢れ出す。うまくいかないことばかり、それでも生きていく。家族のうまくいかない日があろうとも、また少し関係が深まっていく感じと夕方の情景が重なって眩しいなと。うまくいかないことばかりのときにおすすめの短編。

家猫ぶんちゃんの一年 真造圭伍

寄り添いたい場所がある短編 

猫のぶんちゃんの主人は、自動餌やり機を買ってくると「これで、おれがいなくても大丈夫」と気軽に思った。主人は仕事もなくお金もつき、心不全でアパートで倒れた。ぶんちゃんは主人がまだ寝てると思ったのか。やがて餌やり機の餌は底をつき、外に出て凌ぐ日々、主人は遺体処理として回収され、野良猫になったぶんちゃん。誰かに拾われたあとも忘れられず、また主人のいたあのアパート、主人の寝ていたあの場所に寄り添う。ぶんちゃんの無言の愛情が言葉なく、ただただ心にくるおすすめの短編です。

 

 

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