【おすすめ短編小説】ある夜の小さな奇跡の短編集 伊坂幸太郎作品

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妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

今回は本編のあらすじと感想をご紹介します。

アイネクライネ 伊坂幸太郎

ある、小さな、夜の短編 

出会いとは。学生時代の友人夫婦、離婚危機の先輩、身近な人の恋は、出会いの偶然でなく、この人で良かったと思えた判断こそ大切だと。佐藤は街頭アンケートで出会った女性と、思わぬ再開をする。ある小さな夜の物語。

感想

日常は小さな偶然が重なってできているものかもしれない。ただ、その偶然に気づくかどうか、それを奇跡とも思えるかどうかに日常はより彩られる。のかもしれない。日常の小さな偶然を見つけたくなる物語。

ライトヘビー  伊坂幸太郎

こんな恋の始まりもある短編

美容師の美奈子はお客の香澄から弟を紹介された。電話だけのやりとりが続き、恋心というよりも友情に近い関係になっていた。定期的に連絡が途絶える弟の仕事も知らず、ある日香澄にボクシングの世界戦を観戦しようと誘われた。

感想

弟さんは一体何者だろうか?ラストで明かされるサプライズと、本編中に出てくる「斉藤さん」という人物が面白い。路上で1回100円で斉藤和義さんの音楽のワンフレーズをかけてくれるというサービス。その時のお客さんの心境にピッタリのワンフレーズが流れる。本短編集は斉藤和義さんとコラボレーションされており、伊坂幸太郎さんならではのアイデアが盛り込まれていました。

ドクメンタ  伊坂幸太郎

通帳記帳がしたくなる短編

五年に一度のイベントはなんでしょう?彼にとっては免許の更新であり、五年に一度更新場で会う彼女との会話だった。互いに周囲の関係が変化していく様は似ていた。最後にした会話にいまを変えるヒントをもらった。通帳記帳。

感想

通勤時間など同じ時間によく合う人は誰しもいるけれど知り合いになることはあまりありません。同じタイミングで合う人と偶然知り合いになり、偶然にも同じ境遇だった。そこから得たヒントが小さな奇跡をもたらします。ネタバレですが、通帳記帳の振込名義人の記録がメッセージになるところは、いまの時代に少しアナログな懐かしさがありグッときました。

ルックスライク  伊坂幸太郎

サプライズがしたくなる短編

朱美はアルバイト先でクレーム客につかまってしまった。店内にいた男性が、クレーム客に対し「この方がどなたの娘さんかご存知ですか」と言ってクレーム客をたじろがせた。これが二人の出会い。あれから幾年、この作戦を目にする機会がやってきた。読後のサプライズ必至。

メイクアップ  伊坂幸太郎

あの頃の彼女に復讐する短編

高校時代同じグループだった彼女にいじめられた苦い思い出が社会人になり蘇る。コンペ参加社の一人に当時のいじめっ子がいたからだ。発注と受注の皮肉にも高校と逆転した関係性。いよいよ復讐の時が来た。

感想

学生時代から幾年もたつ今思えばあの頃はやっぱり多感であったのかもしれないけれど、それでもあの頃に感じたことはいまも自分の根っこでもあるなと、それがかさぶたのようなものでも。あの頃に出来たかさぶたがまだ治ってなかったことに気づいたら果たして自分はめくるかどうか。それはいまの自分の選択であり、また先の未来を決め、未来をメイクアップすることでもある。軽やかに未来に向かう彼女に勇気付けられます。

ナハトムジーク  伊坂幸太郎

全ての短編が重なり合う短編

短編集最終章、収録の各短編がそれぞれ密接に重なり合い、最後の小さな奇跡が訪れる。

感想

これまでの各編が全て重なり合い少し先の未来の奇跡が見れたときニヤっとしてしまう。過去に出会ったある少年が青年になり、今度は彼らを勇気付ける。偶然は重なり合い韻を踏むような心地よさの読後。奇跡はそれぞれ惹かれあってまた巡り会うのかななんて夢を見せてくれます。

 

 

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