きょう、 生まれたひとの言葉

【Kindleおすすめ漫画】 正直不動産 ~正直は最大の武器である理由~

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あらすじ もしも不動産営業が嘘がつけなくなったら

営業成績トップの出世街道を進む永瀬。ある大口契約のアパート建設のちじんさいで邪魔な祠を蹴り壊してしまったことから嘘がつけないようになってしまった。嘘八百の営業スタイルが出来ず、営業成績も日に日に落ちる。潔く正直者で営業することにした奮闘。

感想 不動産営業の「実態」と正直の性善説の「可能性」が読み応え

不動産契約をした人なら誰しも感じる不動産営業の怪しさ。

本当のところどうなのか、騙されていないか、不動産営業の実態を見せてくれつつ、営業さんがどういうところで本音と嘘を使い分けているのかが分かるルポ的な部分で大いに勉強になります。

かつ、そんな営業スタイルに嘘という最大の武器がなくなってしまったらどうなるのか。

「正直」であることが営業しいては商売や信頼関係にどのように影響するのか。

性善説の可能性が試されていく様子はどんな人でも読み応えがあるのではないでしょうか。

しかも、主人公はただ嘘がつけないのでなく、本音が口から出てしまうところが事態を炎上させていってしまいます。

しかし、そこで最後に正直であることが利他的行動であり、まわりまわって感謝が得られることもあります。

その感覚を少しずつだが主人公は覚えていく成長など今後の展開も楽しみです。

 

出典:ビックコミックBROS

各話のあらすじと感想(1巻)

【敷金礼金泥棒】

永瀬の後輩が担当した学生の一人暮らし案件。その立地では破格な家賃に契約が進む。永瀬は嘘がつけず、その物件のオーナーは新規契約と早期解約を計画的に行い、敷金と礼金で稼ぐ悪徳オーナーだと正直に伝える。後輩の初契約が破綻したが、結果的には感謝される。


出典:ビックコミックBROS

【囲い込み】

後輩の案件、物件を売る夫婦の顧客探しの契約に、その会社だけが担当できる専属専任媒介契約、専任媒介契約、他社からの顧客提案も可能な一般媒介契約がある。不動産としては、もちろん専属契約が良いが、正直である永瀬は一般契約を薦める。しかし、最近入った、ライバル社員の桐山によって案件を横取りされてしまう。

【店舗契約】

またまた後輩の案件、後輩は出来の悪さから、テストとして店舗賃貸契約の案件を試されるが、そこは、各駅停車駅最寄りの商店街はずれの物件、オーナーは不動産が懇意にしている婦人オーナー。彼女に対し、後輩は駄菓子屋をやりたい借り主を提案する。テストはどうなるのか。後輩の実直な姿勢がオーナーの心を少しだけ動かす。正直の風が吹く。

正直は損なの?得なの?研究成果もある。

本音と建て前という言葉があるように、正直つまり本音で他者と接することは控えられている節もあります。

そこには礼節など相手を尊っているからこその建て前な部分もありますが、ビジネスにおいては、金銭が絡むことで利己的な行為として建て前や嘘が使われているシーンも多くあります。

正直であることがビジネス上は損であり、本音や本質よりもより魅力的に見せるような嘘をする。

相手の購買意欲を駆り立てることがこれまでのビジネス経験で培われてきたからこそ、嘘をつき続ける。

このように、損をしてしまう正直は合理的な判断で避けられているのかもしれません。

正直は本当に損なのか。科学的に研究もされているので、いくつか紹介します。

信頼の時代を語る。山岸俊男さんの研究を学ぼう。

社会心理学者である山岸俊男氏の研究見地が対談形式で読みやすい記事です。
山岸氏は「正直者は最大の戦略である」と唱えます。

山岸さんの本を読んで
ありがたかったのは、正直がいいということが、
きちんと実験で実証されていたところなんですよ。
「実験をしても、そうなるんだ!」と思えたから。

つまり、正直は短期的には損であることもあるが長期的には得である。

この漫画が教えてれることは、正直が最大の戦略であるということ。

どんな人におすすめか

・自分の嘘に上手いこと言ったなと悦に入ってしまうことがある人
・正直でありたい人や
・正直でいることに不安を感じていた人
・そういえば少年漫画の主人公はみんな正直者であり、そんなキャラクターに惹かれている人や
・その真っ直ぐさが苦手で少し斜に構えたキャラクターや物語に惹かれる人こそ不動産営業という正直とは似つかない世界から正直の可能性を感じてみてはどうだろうか。

次はこの本・作品はどうでしょう

【性善説を信じてみたくなる】

【おすすめ漫画】町田くんの世界 「他人に優しくすること」が見せてくれる世界の美しさ【あらすじ感想】

【山岸俊男氏をもっと知りたい】


公共財としての信頼の理解を、個人の認知や行動といった心理学者や社会心理学者が扱う信頼の理解と結びつけた研究成果。進化ゲーム論からのみごとな推論と実験データから大胆に提言する。


リストラ、転職、キレる若者たち―日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。本書は、社会心理学の実験手法と進化ゲーム理論を併用し、新しい環境への適応戦略としての社会性知性の展開と、開かれた信頼社会の構築をめざす、社会科学的文明論であり、斬新な「日本文化論」である。

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