【おすすめ短編小説】「パン屋再襲撃」 村上春樹 初期の傑作6篇短編集

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村上春樹の初期の短編集。表題にパン屋再襲撃とある通り、収録された各短編はどれも不思議な設定・組み合わせが織り混ざっており、登場人物の過去の記憶に対する呪いや憂い寂しさとの決別を予感させる短編集です。

【公式紹介の引用】
堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古カローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。

 

パン屋再襲撃 村上春樹

by unsplash

ビッグマックが食べたくなる短編

真夜中、空腹に耐えられなくなった夫婦がパン屋を襲撃することに。読後はなぜかビッグマックが食べたくなる短編。マクドナルドで読むことをおすすめします。

象の消滅 村上春樹

by unsplash

街にいた一頭の象が消えた短編 

街で管理していた象舎にいた象が消えた。新聞の地方面でそのことを知った僕は、他の人よりも驚き、そして他の人よりも忘れることはなかった。その象に人一倍の関心があったとことはもちろん、おそらく自分が最後に象を目撃しただろうあの不思議な記憶から。象は脱走したというよりも、消えた。最後に見た象はいつもより小さくなっていったような感覚。それ以降の僕は予想と結果のバランス感覚を失ってしまった。

ファミリー・アフェア 村上春樹

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兄妹の仲が妹の結婚で少し変わっていく短編。 

性に対してオープンな性格の兄は同居していた妹との仲は良かったはず。しかし、妹が新しい彼氏と付き合いだし結婚を考えるようになって、兄への態度が変わる。出会いが自身の価値観を変え、兄に対し嫌悪を覚える。変わる妹に置いていかれるように、兄は相変わらずな価値観を自覚しまま変えることもできない。兄のささやかな孤独の短編。

双子と沈んだ夜 村上春樹

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過ごした時間の記憶もかすかに、喪失感だけが残る短編 

たまたま雑誌で見かけた一枚の写真にあの双子の姉妹が映っていた。
その双子は僕が以前一緒に過ごしていた双子だった。隣にいる男がいまは一緒に過ごす男だろうか。
嫉妬はしていない。いまはもうあの頃の記憶も他人事のようにも思える。
けれど、喪失感だけが彼を悩ます。感情になる前に感覚をすくい取る村上春樹の短編。

ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界 村上春樹

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ある1週間の日記の短編

その日は風などなかったのに、急に強い風が吹き荒れるものだから洗濯物を取り込んだ。
その日は、電話がなったのに、風が強くて何も聞こえない電話があった。
その日は、昨日がヒットラーのポーランド侵入だったような記憶が交差して、そういえば映画のなかのワンシーンだと気づく。
その日は、彼女がうちに牡蠣鍋を作りにやってきた。最近身に起きた風の強い日のことの話を少し。
日記に書き留められた。これらの一日に記憶の断片が綴られている浮遊感、異国感のある独特な世界観書き上げる村上春樹のタッチが楽しめる短編。

ねじまき鳥と火曜日の女たち 村上春樹

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失業中、見知らぬ女から電話がかかる短編 

失業中の男は、スパゲティを作っている途中でかかってきた電話を取ると、知らない女から10分、時間を頂戴と意味のわからない10分のやりとりがあった。その日、家にいた猫がいなくなり探しにいった路地で少女にあった。猫は見つからない。妻には猫は死んだ。あなたの愛のなさが猫を殺したと口論の途中、また電話がなった。長編「ねじまき鳥クロニクル」の第1部の冒頭部分の元にもなっている短編。

 

 

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