【おすすめ短編】 絶望図書館にある物語がくれる希望 感想あらすじ紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

気づくと途方にくれていた、虚無感や寂しさ諦観を抱く人にこそ、物語を読むことをおすすめします。

物語はあらゆる世界や事情を表現した自由さと、読む人を引き込ませる技術の結晶であり「絶望」ですら表現し、そのなかに「希望」すら見せてくれます。

たとえその物語に希望こそなかったとしても、物語で味わった絶望は、自身が抱える悩みに少しだけ寄り添ってくれる存在にもなってくれます。

今回は各編のあらすじと感想をご紹介します。

この著書内で収録された各編の物語は、絶望のまま最後を迎えることがほとんどですし、時に報われなさすぎると読後しばらくぼーっとしてしまう物語も含まれています。

ただ、記憶に残るほどの物語は現実世界でふと思い返すと、「あの物語の絶望に比べれば大したことない」と現実を和らげてくれることもあります。

物語を読むことの効用とは、いつか静かに自身の世界観に効いてくるまたは効いていた遅効的な効用があるのかなと感じました。

公式HP紹介
気持ちが落ち込んで、どうしようもない。はげましの言葉も心に届かない。そんなときは、絶望図書館を訪れてみよう。そこには世界中からさまざまなジャンルの物語が集めてある。せつない話、とんでもない話、どきりとする話などなど。すべて、絶望した気持ちに寄り添ってくれるものばかり。今の気持ちにぴったりな物語がきっと見つかる。こんな図書館も世の中にひとつくらいはあっていいだろう。

各編紹介と感想

 

瞳の奥の殺人  ウィリアム・アイリッシュ

by unsplash

起きてほしくないことが起きてしまう絶望に

身体が麻痺した老婦人の楽しみは太陽と青空と息子の帰り。その息子の妻は保険金目当てに夫を殺す計画を立てていた。その計画を聞いてしまった夫人だか、身体は動かず、声も発せず息子を助けられない。唯一彼女ができることは「まばたき」NOなら1回、YESなら2回。まばたきだけの彼女の決死の復讐が始まる。

漁師と魔神との物語  千一夜物語

by unsplash

ずっと誰も助けてくれないという絶望に

ある漁師が漁をしていると、網に何か固くて重たいものが引っかかった。壺のようなもの。蓋をあけると、魔神が出てきた。魔神はこの蓋を開けてくれた者を殺すことに決めており、殺し方を選べと漁師に迫る。漁師はたまったもんじゃないと、あるとんちの利いた質問を投げかける。

鞄  安部公房

by unsplash

人生の選択肢が限られているという絶望に

男が大きめの鞄を持って面接に来た。半年も前の求人に今頃来た訳を聞くと、この鞄の重さが歩く道を選ばせちょうどいい場所にこの会社があったからだと。何を言っているのか分からないが男を雇うことにした。男が鞄の中をおろし、席を外した時、その鞄を持ってみることにした。

虫の話  李清俊

by unsplash

恨みの晴らしようがないという絶望に

愛息子が行方不明になり、数ヶ月後、無残な姿で見つかった。犯人は息子が通っていたそろばん塾の講師。愛する者を奪われた妻が正気を失い、それでも生きていくには復讐すら思い浮かべるも、信仰心を頼りに犯人を許そうとする。彼を許すことを直接つたえるため、面会に行くも。思わぬ展開に人間と神の不条理に妻はさらに絶望する。救われない状況に神様とは人間とは何かを考えてしまう作品。

心中  川端康成

by unsplash

離れても離れられない家族の絶望に

妻を嫌い出ていった夫から手紙が来た。子供に鞠をつかせるな。その音が私の心臓を叩くのだ。とあらゆる娘の一挙手一投足の音がを止めようとする夫と妻。家族が家族であることのうるささが鳴る。

すてきな他人  シャーリィ・ジャクスン

by unsplash

夫婦であることが呪わしいという絶望に

喧嘩をして1週間離れてい夫との再会。ぎこちなさを必死で紛らわしていると、気づいたしまった。夫ではない。夫とそっくりな他人。意味がわからない状況もいまの彼女なら受け止められるし、むしろ喜び迎え入れた。精神的な不思議世界が楽しめる短編。

何ごとも前ぶれなしには起こらない  キャサリン・マンスフィールド

by unsplash

家族に耐えられないという絶望に

妻という人物が誰で夫婦という関係がどんな関係であるか、その不可解さが夫の心のうちから語られる。ある文字をずっと見続けていると、元々意味を、持っていた文字が何かの記号や線の連なりに見え意味が分からなくなる現象をゲシュタルト崩壊という。夫婦や家族という文字のように当たり前の存在を見つめ続けると、意味が崩壊していく。

僕は帰ってきた  フランツ・カフカ

by unsplash

家に帰るということの難しさという絶望に

父の家に帰ってきたのに、懐かしさもないし、家にあるすべてのものがよそよそしく感じられる。家族や家庭の象徴である家というものの当たり前にあることの当たり前ではない違和感。感じたり考えれば考えるほど芽生える違和感。それはどうしようもなくひとを孤独にさせる。誰の心にも小さな絶望はある。

ハッスルピノコ  手塚治虫

by unsplash

居場所がどこにもないという絶望に

ブラックジャックのピノコは奇形嚢腫から生まれており、ブラックジャックが合成繊維で人間の形に似せた少女。戸籍上は1歳だけれど姉と18年一緒に嚢腫のして生きてきたので精神は19歳。彼女は学校に行きたいと言い出す。なんとか試験を受けるところまで至ったが緊張で倒れてしまった。寄る辺ない彼女の精神と身体。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。